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リスクマネジメントが機能しない原因と対策 ~ 管理職による「リスクの洗い出し」がカギ

「リスクマネジメントは既に実施しているが、実態としてあまり機能してない...」

その原因は、大きく二つ考えられます。

一つ目は「組織に根付いていない」こと。もう一つは、制度はあっても「現場で使われていない」ことです。リスクマネジメントを機能させるためには、リスクマネジメントの見直し、特に管理職・経営層による「リスクの洗い出し」が効果的です。

リスクマネジメントが機能しない大きな原因

【原因①】組織に根付いていない

リスクマネジメントが組織に根付いていない場合、単なるルールや手続きとして形骸化している可能性があります。組織の文化として定着させるためには、経営層・組織の長がリーダーシップを発揮し、リスクマネジメントを戦略の一部とすることが必要です。また、リスク管理を現場の業務に組み込み、メンバー全員が関与できる仕組みを作ることも重要です。

例:小売業でのクレーム対応ミスによる炎上

  • 背景:クレーム対応のマニュアルが存在せず、各店舗に任せきり。本社は売上や販促には注力しているが、リスク対応は現場任せで方針も支援もなし
  • 結果:店舗対応の不備がSNSで拡散し、企業イメージが悪化
  • 本質的な問題:経営層がリスクを経営課題と捉えていない。管理部門が作るだけで現場が関与していない

【原因②】制度はあるが現場で使われていない

リスクマネジメントの仕組みがあっても、現場で活用されていなければ意味がありません。マニュアルやルールがあっても、日々の業務で実践できる形に落とし込まれていなければ、リスクは未然に防げません。

実践的な研修やシミュレーションを通じて、日常業務に活かせる知識を習得することが重要です。これらの対策を実施することで、リスク管理が単なるルールではなく、組織文化として定着し、全員が主体的に取り組む環境を構築できます。

例:IT企業でのセキュリティインシデント

  • 背景:セキュリティ教育のeラーニングは実施済み。しかし、実際の業務での対応方法(例:フィッシングメールの見分け方など)が定着しておらず、社員は危機意識を持っていなかった
  • 結果:誤って不審メールを開封し、情報漏洩が発生
  • 本質的な問題:教育体制はあるが、現場が実行できるレベルに落とし込まれていない

危機が発生する前にリスクを分析し、損害や影響を最小限に抑える

リスクマネジメントが思うように機能していないとき、まず着手すべきは「仕組みの見直し」です。特に、危機が起きてから対応する「事後対応型」ではなく、起きる前に手を打つ「予防的リスクマネジメント」 に注目する必要があります。この予防的リスクマネジメントは、単なる危機対応ではなく、組織の持続的な成長を支える重要な経営戦略のひとつです。 リスクを未然に防ぐためには、以下のようなプロセスを意識し、定期的に見直しながら実行していくことが不可欠です。

  1. リスクの予測
    • ヒヤリハットからの洗い出し
    • 多面的な視点からの洗い出し
  2. リスクの分析・評価
    • 「顕在化の可能性」と「影響の大きさ」の指標で評価する
  3. リスク対策の策定
    • 評価した内容に応じて、どのように対応するか決定する

  4. リスク計画の実施
  5. モニタリング・見直し
    • リスクが顕在化したときの対応策を考える

このように、「予測→分析→対策→実施→見直し」という一連のサイクルを定期的に回すことで、リスク管理は形だけの仕組みではなく、実践的に機能するものへと変化します。まずは、自組織の現在の体制をこの流れに照らし合わせてみることから始めてみましょう。

管理職・経営層による「洗い出し」が効果的

次に大切なのが、前述した流れの中でも特に、「リスクの洗い出し」自体をどう進めるかです。リスクリスクマネジメントというと、「日常的に意識しておくもの」という印象を持たれる方も多いかもしれません。しかし、漠然としたリスク意識だけでは、具体的な行動にはつながりにくいのが実情です。

効果的なのは、あえて一度、時間を確保してリスクを集中的に洗い出すことです。特に、決定権がある管理職・経営層が時間を取って話し合うことが重要です。体系的なフレームワークに沿って徹底的にリスクを可視化することで、現場では見落とされがちな潜在リスクが一気に明文化されます。

実際、管理職が一堂に会すことで、100件を超えるリスクが洗い出されることもあります。リスクマネジメントを機能させるため、組織の経営層によるリスクの棚卸にぜひ取り組んでみてください。

リスクマネジメント研修~未然に防ぐ方法を学ぶ

一般的なリスクや事例など外部の視点を学ぶことによって、リスクに対する視野を広げます。また、自社を取り巻くリスクについて、内部・外部に存在する様々なリスクを洗い出し、対策の優先度を実際に評価します。リスクが顕在化した後の取り組みや、リスク管理を行う際に組織全体で気を付けるべきことなども合わせて学び、すぐに現場に持ち帰って活用をできる内容です。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 事故やミスが起きる前に、予防対策を打つ方法を知りたい
  • 様々なリスクがある中、どこから手を付けていいかわからない
  • 自分が職場にいないときにリスク事項が起きてしまったら、部下は適切な判断ができないと思う

本研修の目標

  • リスクの洗い出しの仕方を習得し、自分の職場に潜むリスクを洗い出す
  • リスク顕在化の予防策を習得する
  • リスクが顕在化した場合の対応策の考え方を習得する

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セットでおすすめの研修・サービス

(半日研修)リスクマネジメント研修~リスク管理の全体像把握編

危機管理の全体像と基本知識を理解すると共に、いつどこで発生するか分からない不測事態に備えて、予防策と発生時の対応能力を修得します。リスクの予測と評価後、予防策と発生時の対策を検討します。

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危機管理力強化研修~発生時の対応力を身につける(1日間)

問題を起こさないためのリスクマネジメントではなく、問題が起きた後の手立てを誤って危機的な状況に陥らせないために何が必要かを学びます。問題発生から最悪のケースを想定する、問題の影響範囲を洗い出すなどの演習を実施し、具体的にイメージすることで、行動に移せるようになることを目指します。

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プロジェクトマネジメント研修~リスクマネジメント編(1日間)

プロジェクトにおいて、事前のリスクの洗い出しや発生した際の対応方法が決められておらず、トラブルが発生しスケジュールが遅れてしまうなどのトラブルが起こりがちです。研修では、リスクの洗い出しや評価の仕方を習得し、リスク顕在化予防策や顕在化した後の対応を具体化してリスクの備える方法を理解します。

>講師派遣の詳細はこちら

リスクマネジメント研修~損失の最小化を図るプロセスを習得する(冊子教材・テスト付き)

管理職が身につけるべき、スクマネジメントの基本プロセスを解説します。組織にとって不利な影響を与えうる事象や、損失を与える不確実性のとらえ方を習得します。リスクマトリクスによる対策構築の着手優先順位、効果の高い予防策とする仕組みづくりや、行動マニュアルへの取り組みを考えます。

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